令和3年度産業標準化推進事業委託費(戦略的国際標準化加速事業 ルール形成戦略に係る調査研究)リサイクル炭素繊維の評価手法や採用状況に関する国際動向調査

掲載日: 2022年9月8日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局資源循環経済課
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和3年度産業標準化推進事業委託費(戦略的国際標準化加速事業 ルール形成戦略に係る調査研究)リサイクル炭素繊維の評価手法や採用状況に関する国際動向調査のサムネイル

報告書概要

この報告は、リサイクル炭素繊維の評価手法や採用状況に関する国際動向について書かれた報告書である。炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の生産量増加に伴い、工程内端材や使用済みCFRP製品からの廃棄物増加が予想される中、CFRPの循環利用システム確立が求められている状況下で実施された調査である。

本調査では、リサイクル炭素繊維(rCF)の評価手法として、産業技術総合研究所が開発したフラグメンテーション試験と不純物元素分析試験に焦点を当て、国内外の研究機関によるラウンドロビンテストを実施した。その結果、試験実施時の事前調整やパラメータの精度向上など、標準化に向けた技術的課題が明確となった。また、国際論文調査や標準化に関する調査により、各国におけるrCF規格の不在や、評価手法の限定性が確認された。

調査範囲は、日本、欧州(英国、ドイツ、フランス、イタリア)、米国の研究機関における評価手法開発状況、標準化動向、規制上の制約の有無にわたった。さらに、rCF市場規模の推計を行い、2020年から2030年にかけての成長予測を定量的に算出した。現在、欧米諸国ではエアバス社やボーイング社を中心としたCFRPリサイクル技術開発が先行しており、日本がバージン炭素繊維生産量世界一の地位を活かしつつ、rCF評価手法の国際標準化を主導することの重要性が指摘されている。

ルール形成戦略として、他素材における認証制度の分析を行い、リサイクル品の定義、材料品質規定、通商ルールの観点から具体的な戦略を提案した。特に、rCFを従来のプレコンシューマーとポストコンシューマーの分類に加え、バージン炭素繊維製造時のくず糸から使用済み製品まで、より細分化した区分での定義付けが必要であることが明らかとなった。最終的に、ISO・TC61/SC13における新規ワーキンググループ設立を目指し、世界統一の評価手法確立に向けたロードマップが策定された。