令和3年度九州地域における半導体サプライチェーン構築検討調査 成果報告書
報告書概要
この報告は、九州地域における半導体サプライチェーン構築検討調査について書かれた報告書である。令和3年度に経済産業省九州経済産業局が公益財団法人九州経済調査協会に委託し、経済産業省の「半導体・デジタル産業戦略」の実現に向けて、九州のリーディング産業である半導体関連産業の競争力強化およびサプライチェーンの強靱化を目的として実施された。
本事業では2つの主要業務が実施された。第一に、九州に立地する半導体関連企業をリストアップし、技術・製品等の情報を分野別・工程別カテゴリーにまとめた新たな「九州半導体関連企業サプライチェーンマップ」の作成である。2016年度版をベースとして企業情報の更新・追加を行い、九州各県の企業立地支援策や国の半導体関連施策などの新コンテンツを追加し、1,000部を印刷した。第二に、九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会(SIIQ)の会員企業100社を対象としたアンケート調査および有識者3名に対するヒアリング調査を実施した。
アンケート調査では、企業の基本情報、経営課題、事業展開、人材確保・育成、パートナー発掘、他機関との連携、行政への要望、SIIQに対する期待などについて調査した。結果として、中小企業が多く、機械組立業が最多であった。当面の経営課題として人材不足への対応が最も多く挙げられ、物流コスト上昇や電力コスト向上への課題感も高かった。人材面では生産技術者の需要が高く、新卒・中途採用や既存社員育成が主な確保手段とされ、TSMCの立地により人材確保が更に困難になる懸念も示された。行政への要望では設備導入補助金拡大や税制優遇など金銭面でのサポート充実が求められた。
ヒアリング調査では半導体商社や業界団体の有識者から業界動向について聞き取りを行った。半導体の品不足は中国の電力不足や東南アジアのコロナ禍による工場稼働率低下が原因であり、納期が大幅に延長している状況が明らかになった。また、偽造半導体対策の実態や人材不足の深刻化についても調査された。