令和3年度産業経済研究委託事業(緊急時における被害情報把握・事態対処の体制強化に向けた調査)報告書
報告書概要
この報告は、経済産業省における大規模地震発生時の災害対応能力強化に向けた調査について書かれた報告書である。文部科学省の地震調査研究推進本部によると、首都直下地震と南海トラフ地震は今後30年以内に発生する確率が70%程度と試算されており、経済産業省が所管する電気・ガスといったライフラインや支援物資を製造・調達する産業界への影響を考慮すると、災害対応の迅速な実施は国民の生命と生活を守るために極めて重要である。本事業では首都直下地震をはじめとした大規模地震発生時における初動対応の実施体制及び動作対応の確認・検証を目的として、経済産業省本省及び経済産業局、産業保安監督部においてシミュレーション演習型訓練を実施した。令和4年3月5日に実施された訓練は、休日に都心南部直下地震が発生した場合を想定したブラインド型訓練として行われ、発災30分後から3時間後までの対応を再現した。訓練の目的は防災担当官等の意識向上・能力向上、災害対応マニュアル等の基本インフラ整備、ITツールの活用の3点であった。訓練を通じて明らかとなった課題として、各プロジェクトチームや局・監督部における個別訓練の必要性、マニュアルの具体化と対応様式の事前準備、TeamsなどのITツールの習熟不足が挙げられた。今後は年1回の大規模訓練に加えて小規模な訓練の繰り返し実施、定期的な分野別研修の実施、マニュアルへの用語集や典型的業務内容の追記などが必要であるとされている。