令和3年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(水素・アンモニア発電設備等新しい発電設備に関する保安技術等動向調査事業)報告書

掲載日: 2022年9月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループ電力安全課
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令和3年度新エネルギー等の保安規制高度化事業委託調査(水素・アンモニア発電設備等新しい発電設備に関する保安技術等動向調査事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、水素・アンモニア発電設備及びORC発電設備という新しい発電技術の保安規制に関する調査結果について書かれた報告書である。2050年カーボンニュートラル実現に向けて、従来の火力発電に代替する脱炭素技術として水素やアンモニアを燃料とする発電設備の導入が急速に進められており、これら新技術に対応した保安規制の整備が急務となっている現状を踏まえた調査検討が実施された。

調査は令和3年度に経済産業省の委託事業として実施され、東京大学を中心とした産学官の専門家による検討会が設置された。水素発電については、有機ハイドライド方式や液化水素方式を中心とした技術開発動向と国内外の実証事業の進展状況が調査され、2030年までにガス火力への30%混焼や水素専焼の導入目標が設定されていることが確認された。アンモニア発電についても、石炭火力への20%混焼から始まり将来的な専焼への移行を目指した技術開発が活発化しており、毒性ガスという特性を考慮した安全対策の検討が重要であることが示された。

ORC発電設備については、主にヨーロッパで普及が進む有機ランキンサイクルシステムを活用した発電方式として、日本国内での導入促進に向けた規制緩和要望が調査された。現行の電気事業法における発電用火力設備の技術基準が、これら新しい発電設備の特性に十分対応できていない課題が抽出され、具体的な改正方針が提案された。特に1000kW未満の小規模設備については、欧州技術基準への適合を条件とした規制緩和、主任技術者の選任要件の拡大、随時監視制御方式の適用拡大等の改正案が示された。

今後の課題として、大規模貯槽の実現に向けた適正な離隔距離の検討、リスクアセスメントの実施、防災対策指針の作成、検査や溶接技術の検証等が挙げられており、これらの課題解決には官民一体となった取り組みが不可欠であることが強調されている。