令和3年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(企業の持続的な価値向上に向けた研究開発投資に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、企業の持続的な価値向上に向けた研究開発投資に関する調査について書かれた報告書である。
デジタル革命の進展により競争力の源泉が有形資産から無形資産へと変化する中、既存の財務諸表では企業価値を正しく評価することが困難になっている。研究開発投資は大部分が費用として計上されバランスシート上に表れないものの、企業が持続的に価値を向上させる上で極めて重要な要素となっている。米国GAFA等のグローバル企業は継続的な研究開発投資により持続的な企業価値向上を実現している一方、研究開発投資には収益への結びつきの不確実性や多大な時間を要するという性質があり、激しく変化する経営環境において継続投資は容易ではない。
本調査では、継続して研究開発投資を行うことに成功している企業を抽出し、その特徴を見出して類型化することを目的としている。さらに持続的な研究開発を行う上で必要な要素について仮説を構築し、ヒアリング調査を通じてその妥当性を検証している。調査は三段階のフェーズに分けて実施され、第一段階では研究開発の定義設定、第二段階では企業の抽出と分析、第三段階では成果の取りまとめが行われている。
研究開発の定義については、OECDのFrascati Manual、総務省の科学技術研究調査、科学技術・学術政策研究所の民間企業調査報告などを参考に整理されている。本調査では自然科学のみならず人文・社会科学の研究開発活動も含む包括的な定義を採用し、企業の研究開発投資促進政策の立案に活用することを最終目標としている。