令和3年度戦略的基盤技術高度化・連携支援事業(研究開発税制等の利用状況及び経済波及効果に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度における経済産業省委託調査として実施された研究開発税制等の利用状況及び経済波及効果に関する調査結果について書かれた報告書である。研究開発税制は民間企業の研究開発投資を維持・拡大し、イノベーション創出を促進して国際競争力を強化することを目的とした制度であり、令和3年度税制改正において制度見直しが行われた。本調査では制度利用者である企業へのヒアリング調査や計量経済学的検証を通じて、研究開発税制の効果や課題を把握し、今後の制度設計に向けた検討を行った。調査結果として、企業からは人文社会科学分野の研究、マーケティング、デザイン、臨床試験費用、製品完成後の研究開発等を税制対象として認めてほしいとの要望が挙がった。また、オープンイノベーション型税制については、大学との共同研究における監査手続きの煩雑さや契約書の不備が課題として指摘された。アンケート調査では、大企業・中堅企業の68.5%、中小企業の58.0%が一般型の控除率引き上げを要望し、控除限度額の引き上げについても同様に高い要望があることが判明した。一方で、研究開発投資判断において税制効果を考慮する企業は大企業・中堅企業で38.1%、中小企業で18.9%に留まり、多くの企業では投資判断への影響は限定的であることが明らかになった。
