令和3年度最低賃金改定に伴う中小企業支援施策(官公需、価格決定方法適正化等)に関する調査事業調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度の最低賃金改定に伴う中小企業支援施策について書かれた報告書である。中小企業庁が実施した調査により、最低賃金引き上げが官公需契約や価格交渉に与える影響を分析している。調査は国等および都道府県の官公需契約受注者15,000社と5,000社を対象としたアンケート調査と、全国の中小企業40,000社を対象とした価格交渉促進月間に関するフォローアップ調査で構成されている。官公需契約調査では、発注者からの契約金額見直し確認が約7割の企業にあったものの、実際に最低賃金レベルで雇用している従業員がいる企業は1割未満であった。価格交渉促進月間調査では、中小企業の価格転嫁の実態や課題を詳細に分析している。調査結果から、多くの企業で発注者との良好な関係が構築されており、価格交渉や取引上の問題について率直な意見交換が可能な環境が整っていることが明らかになった。また、CO2排出量削減への対応については多くの企業が算定を行っておらず、算定方法の確立や削減要請への対応が今後の課題となっている。人材マッチング支援については現状で特段の必要性を感じていない企業が多く、親事業者からの経営相談窓口や生産性向上支援についても限定的である。
