令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(各種サービス業に係る業界動向調査)報告書
報告書概要
この報告は、新型コロナウイルス感染症の影響下におけるサービス業の市場動向について調査・分析した報告書である。
経済産業省による令和3年度の調査として、日本のサービス業全体の業況分析と特定業種の市場動向を詳細に検証している。サービス業は国内総生産の約7割を占める重要な産業でありながら、コロナ禍により業種間で需要の格差が顕著に現れており、飲食・宿泊・レジャー業界が需要減少を余儀なくされた一方で、オンライン配信サービスやデリバリーサービスは需要が拡大している。
調査対象として、経営コンサルタント業、翻訳業、ネイルサービス業、家事サービス業、葬儀業、結婚相談業、写真プリント業、スポーツ施設提供業、ゴルフ場・練習場、ボウリング場、テニス場、学習塾、スポーツ・健康教授業、コールセンター業の15業種について、過去10年間の市場規模と動向を帝国データバンクの企業情報データベースを用いて分析している。
分析結果によると、サービス業全体の就業者数は全産業の約7割を占め、2013年以降漸増傾向にある。企業数・事業所数においても全産業の約8割を占めており、特に高齢化進展による介護事業や医療業等のサービス業狭義分野の急増が全体を押し上げている。ただし、付加価値額の伸びが収入高の伸びを下回る特徴があり、収益性の課題が浮き彫りとなっている。
特に家事サービス業については、コロナ禍での需要増加とこども家庭庁発足を踏まえ、消費者への直接調査も実施している。調査結果では、家事代行サービスの利用率は68.8%と高い一方、未利用者の45.6%が価格の高さを理由に挙げており、適正価格が分からないという回答も25.9%に達している。利用希望価格は1時間あたり1,500円以下が45.3%を占め、現在の業界平均価格2,500円~4,000円との乖離が明確である。また、品質・安全性への不安や他人を家に入れることへの抵抗感も利用阻害要因となっており、認証制度や資格制度による品質担保が求められている。
