令和3年度産業経済研究委託事業(海外におけるデザイン・ブランド保護等新たな知財制度上の課題に関する実態調査)調査報告書

掲載日: 2022年9月27日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局知的財産政策室
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令和3年度産業経済研究委託事業(海外におけるデザイン・ブランド保護等新たな知財制度上の課題に関する実態調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、海外におけるデザイン・ブランド保護等新たな知財制度上の課題に関する実態について書かれた報告書である。第四次産業革命技術の社会実装が進行する中で、付加価値の源泉がモノからコト(ブランド・デザイン・ビジネスモデル)へとシフトする無形資産への重心シフトが産業横断的に見られる現象となっている。経済産業省知的財産政策室では、不正競争防止法について技術情報の保護の観点から営業秘密に関する改正を累次行ってきたが、ブランド・デザインなどの保護規定については20年以上抜本的な見直しが行われていない。本事業では、諸外国(アメリカ・欧州・中国・韓国)におけるデザイン、ブランドの保護や投下資本の回収機会の保護の実態について調査・整理を行い、第四次産業革命がますます進展する中で新たに検討すべき知財制度上の課題について調査・検討を行った。3Dデータ・3Dプリンタの活用において、有体物たる知的財産について、当該有体物について知的財産権を有しない事業者が3Dデータを作成して消費者に販売する行為が想定される問題について各国の法制度を調査した。依拠する有体物に著作権がある場合、3Dデータの作成・販売はいずれの国においても著作権侵害に該当することが判明した。その他の知的財産法では捕捉できるか否かは各国において議論が分かれるところであり、特に意匠法における物品性要件にかかわる規定の相違など、必ずしも日本法と外国法をパラレルに考えることができないような部分も存在することが明らかとなった。また、AI学習における著作物の利用(テキストおよびデータマイニング)と契約上の制限についても調査し、米国では著作権上のフェア・ユースで許容される行為を禁止する契約を有効とする判例が存在することが確認された。