令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(ロボット・AI等の先端技術が労働生産性・グローバルバリューチェーンに及ぼす影響に関する調査)報告書
報告書概要
この報告は、ロボット・AI等の先端技術が労働生産性・グローバルバリューチェーンに及ぼす影響について書かれた報告書である。東京大学エコノミックコンサルティング株式会社が令和3年度に実施した調査結果をまとめている。
本調査では、グローバルバリューチェーンと新興技術に関する最新の学術的知見を整理し、政府統計を用いて日本企業の動向を分析している。グローバルバリューチェーンにおいては、質的な細分化やリショアリングといった現象が確認されており、産業用ロボット等の新興技術導入による生産性や雇用への影響については、ポジティブ・ネガティブ双方の効果が報告されている。
日本企業の分析結果として、仕入れ先の国の違いによって付加価値への影響が異なることが明らかになった。また、産業用ロボットの導入と海外進出が互いに代替案として認識されている可能性が示唆されている。新型コロナウイルスの影響については、生産活動の減少が発生する一方で、雇用への影響は限定的であったことが確認された。
政策への示唆として、グローバルバリューチェーン構築支援では海外現地法人による現地ネットワーク構築を含む包括的な支援が望ましいとしている。さらに、ロボット化と海外進出の代替性を踏まえた政策間連携の重要性が指摘されている。新型コロナウイルス影響による生産活動縮小の補填方法については、さらなる調査の必要性が述べられている。
