令和3年度製造基盤技術実態等調査(我が国石油化学産業の課題と対応の方向性に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、日本の石油化学産業における2050年カーボンニュートラル達成に向けた課題と対応の方向性について書かれた報告書である。2021年度に経済産業省が実施した調査では、世界各国の石油化学産業の事業環境比較と石油化学製品の需給見通し、および国内プラスチック製品のリサイクルにおける現状と課題を整理している。調査対象国は米国、中国、欧州4か国、中東であり、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの基礎化学品について2030年に向けた需給見通しを分析している。各国の統計データや業界動向の情報収集を行い、客観的な視点を持った需給推計を実施した。また、国内におけるマテリアルリサイクルとケミカルリサイクル技術の棚卸を行い、2030年に向けた社会実装時期とインパクトの見通しを検討している。技術的課題領域として、混合プラスチックの樹脂別分別、汚れや内容物が付着したプラスチックの洗浄、複合樹脂プラスチックの分解・原料化、物性の劣化防止などが挙げられている。廃ペット樹脂の高純度再生技術では解重合による化学的合成技術が検討され、2021年に本格稼働した技術では年間約22,000トンの処理能力を持つ。一方、開発中の技術では2027年に年間5万トンの処理を目指している。複合プラスチックからのモノマー回収技術や既存石油精製設備を活用した廃プラスチック分解技術も開発中であり、2030年の実用化を目標として年間87万トンの処理能力が見込まれている。
