令和3年度産業経済研究委託事業(医療機器の安定供給および再製造単回使用医療機器(R-SUD)の活用動向に関する調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、医療機器の安定供給および再製造単回使用医療機器(R-SUD)の活用動向について書かれた報告書である。
新型コロナウイルス感染症の流行により、人工呼吸器やシリンジなどの医療機器の需給が世界的に逼迫し、日本における医療機器の海外依存度の高さが明らかとなった。このため、非常時における医療機器の安定供給体制構築が重要な課題として認識され、部品を含むサプライチェーンの安定性確保が急務となっている。
本調査では、感染症流行時や災害時に需要が逼迫する可能性の高い医療機器について、サプライチェーンの脆弱性リスクシナリオおよび対応方針に関する情報収集・整理を実施した。特に人工呼吸器、ECMO、人工透析機器の3品目を中心として、文献調査と民間企業へのヒアリング調査を通じて、供給体制の現状と課題を分析している。
また、近年薬機法の承認を受けて利用が進む再製造単回使用医療機器(R-SUD)の活用可能性についても詳細な調査を行った。日本および米国におけるSUDとR-SUDの市場規模推移、承認品目のリストアップ、審査中品目の動向について分析を実施している。
調査結果から、医療機器のサプライチェーンにおける主要なリスク要因として、海外依存度の高さ、特定企業への集中、消耗品の安定供給問題などが特定された。対応方策として、備蓄による対応、調達先の多様化、国内生産体制の構築に加え、R-SUDの活用が有効な選択肢となることが示された。R-SUDについては、高額なクラスⅡ以上の製品群、循環器系製品、超音波メスやカテーテルなどの領域での普及が期待されると結論づけている。
