令和3年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(ベトナム国・土地管理システム導入に向けた事業実施可能性調査)公表用調査報告書
報告書概要
この報告は、ベトナム国における土地管理システム導入に向けた事業実施可能性調査について書かれた報告書である。令和3年度に一般財団法人国際情報化協力センターが経済産業省の委託を受けて実施した調査結果をまとめている。ベトナムは2020年に首相決定749号において2030年までに高度なデジタル国家になることを宣言し、国家デジタルトランスフォーメーションプログラムの中で電子政府の高度化と土地管理行政のデジタル化を喫緊の課題としている。土地情報の整備は国家管理にとって重要であることに加え、土地を担保にした信用拡大など経済発展の基盤となるものである。調査では、ベトナムのデジタル化政策、電子政府化の取り組み、ITインフラの整備状況を調査し、高度な土地管理システムを導入するポテンシャルを有することを明らかにした。中央政府の天然資源環境省は土地管理行政のDX化を計画しており、土地データベースの構築に取り組んでいる。また2023年予定の土地法改正においても土地データベース構築の観点が含まれている。カントー市を対象とした調査では、手続きのワンストップ化、統計データ作成、土地情報の公示、テレワーク環境構築、災害時の業務継続支援という5つの施策案を提案した。カントー市からは土地情報の公示以外の施策について早期に取り組みたいという意向が示された。土地管理システムの整備は権利関係の明確化による投資促進や信用創造など経済発展の基礎をなすものである。今後は日越協力により詳細なフィージビリティー調査の実施、具体的導入計画の策定等を行い、土地管理行政の高度化とシステム化を推進していくことが重要である。
