令和3年度学びと社会の連携促進事業(教育/EdTechイノベーション創出支援事業)最終報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に実施された教育/EdTechイノベーション創出支援事業について書かれた報告書である。
日本では「GIGAスクール構想」をはじめとする教育のデジタル化が進展しているが、教育イノベーターの不足や支援エコシステムの未整備という課題が存在している。世界のEdTech市場規模は2018年の17兆円から2025年には38兆円に拡大すると予想される一方で、国内では新しい起業家が出てこない状況や既存のEdTechイノベーターが固定化している問題がある。また教育イノベーターは「教育の閉鎖感」と「事業化の難易度」という2つの障壁に直面しており、サービスの社会実装、広報支援、実証事業、業務連携、資金調達支援、教育理論への助言という6つのニーズを抱えている。
本事業では3つの主要な取り組みを実施した。第一に、教育分野のスタートアップ企業約20社を対象とした3か月間の育成プログラムで、メンタリング、ピッチイベント、コミュニティ形成を通じて次代のEdTechイノベーターを支援した。第二に、教育業界でのイノベーションに関心を持つ企業や個人を対象とした次次代向けイベントを実施し、ワークショップやコミュニティ形成を行った。第三に、国内EdTech企業の海外進出支援として、SXSW EDUやBETT SHOWなどの海外イベントへの登壇・出展機会を提供した。
事業実施の結果、EdTechイノベーターを支える社会実装基盤整備に向けて、民間と国の役割分担を明確にした継続可能なエコシステム構築の必要性が明らかになった。具体的には、挑戦者であるEdTechイノベーターの積極的育成、適切なメンタリングや実証フィールド提供によるアクセラレーション、コミュニティ参加によるインキュベーション、世界市場を視野に入れたイノベーター育成、民間育成機関への支援強化、国による実証事業継続、そして国・民間による育成・支援コミュニティ創出が重要である。
