令和3年度中堅・中小企業輸出ビジネスモデル調査・実証事業(米国向け食の戦略的輸出支援モデル実証・調査事業)
報告書概要
この報告は、中部地域の食品輸出拡大を目的とした米国市場向けの戦略的輸出支援モデル構築について書かれた報告書である。政府が掲げる2030年農林水産物・食品輸出額5兆円の目標達成に向け、輸出障壁が高い米国市場をターゲットとし、日本食が定着している西海岸と未浸透の南西部への市場参入を図る実証・調査事業を実施した。中部経済産業局が株式会社エイチ・アイ・エスに委託し、中部食品輸出研究協議会などに参画する24社の企業を対象として支援を行った。西海岸向けでは現地コーディネーターを通じたディストリビューターやレストランへの販路開拓代行活動を実施し、南西部向けでは日系進出企業の社員食堂や近隣小売への販路開拓モデルを検討した。さらに、コロナ禍による市場変化への対応として、オンライン商談システムを活用した新たな販路開拓手法の実証も行った。調査結果では、米国市場への参入には継続的な取り組みと現地ニーズへの適応が重要であり、中堅・中小企業が勝ち抜くためには原料調達から販売まで各フェーズでの差別化戦略が必要であることが明らかとなった。特に非日系市場への展開においては、現地の食文化に合わせたローカライズやプロモーション活動が不可欠であり、単独企業では限界があるため、地域コーディネーターや現地パートナーとの連携による支援ネットワークの構築が重要である。本事業を通じて、米国向け食品輸出の担い手拡大と段階的な支援体制の確立により、将来的な輸出拡大を実現する戦略的支援モデルが提案されている。
