令和3年度商取引・サービス環境の適正化に係る事業(大規模災害時における流通レジリエンス調査)報告書
報告書概要
この報告は、大規模災害時における流通レジリエンス調査について書かれた報告書である。東日本大震災以降の熊本地震、西日本豪雨、北海道胆振東部地震等の災害を受け、道路、鉄道、港湾等の主要輸送インフラが断絶した際の流通・物流ネットワークの確保対策について調査研究が実施された。調査では工場・物流センター・店舗といった企業施設ではなく、県をまたぐ規模の広域災害による輸送インフラの断絶を想定し、製造、物流、小売の各チャネル間での連携によるレジリエンスの高い流通・物流ネットワーク構築を検討している。過去の大規模災害における対応事例の文献調査およびヒアリング調査により、製造、卸売、小売、物流の各業種における災害時対策の実態が把握された。分析の結果、インフラ断絶への対応方法論として、輸送手段・ルートの多様化・強靭化、在庫拠点の複数化、在庫の積み増し、サプライチェーン全体の可視化と総合的調整の4つが大別された。これらの対策は短期的対応と中長期的対応に分類され、企業単体による対策と企業間連携による対策に整理されている。望ましい流通・物流ネットワーク構築に向けた課題として、リダンダンシー向上に要するコスト負担への対応、災害時の輸送資源制約への対応、災害時の企業間連携に向けた環境整備、サプライチェーンの見える化・デジタル化の促進が抽出された。
