令和3年度経済産業省デジタルプラットフォーム構築事業(CITES許可書デジタル化に係る国際動向調査)最終報告書
報告書概要
この報告は、ワシントン条約(CITES)許可書のデジタル化に関する国際動向調査について書かれた報告書である。経済産業省が令和3年度に実施した本調査は、世界最先端デジタル国家創造宣言に基づき、書面や対面手続きによるデジタル完結の阻害要因を解消することを目的としている。CITES許可書は絶滅危惧種の国際取引において必要な許可書であり、現在は紙ベースでの発給が義務付けられているため、貿易手続きの完全デジタル化が困難となっている状況である。
調査では日本の主要な貿易相手国19か国を対象とし、そのうち8か国に対して電話会議によるヒアリングを実施した。調査結果によると、多くの国で電子申請と電子許可書発給は実現されており、電子申請率も高い水準に達している。しかし、各国CITES管理当局間でのデータ連携や自国税関とのデータ連携については、どの国も実用段階には至っておらず、依然として紙ベースでの手続きが行われている現状が明らかとなった。スイスがノルウェーとの間で実証実験を行うなど、一部で電子連携の取り組みが見られるものの、実際の運用には至っていない。
我が国における現状分析では、CITES関連業務が複数のシステムに分散しており、統合的なデジタル化が課題となっている。経済産業省による許可申請の審査、科学当局による助言、税関での通関手続きという一連の流れにおいて、それぞれ異なるシステムや紙ベースでの処理が混在している状況である。
デジタル化の実現方針として、NACCSを中心とした集約案とCITES専用の新システム構築案の2つのアプローチが提示された。集約案では既存のNACCSシステムを活用して改修を行う一方、新システム案では審査のデジタル化や電子ライセンス発給機能を独自に構築する内容となっている。
