令和3年度地球温暖化問題等対策調査(我が国における資源効率性の向上に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、我が国における資源効率性の向上、特に密閉形蓄電池使用製品の適正な管理とリサイクル推進について書かれた報告書である。
報告書では、資源有効利用促進法の見直しを視野に入れ、密閉形蓄電池使用製品の国内流通実態について包括的な調査が実施された。調査対象として、電源装置やビデオカメラなどの法指定品目5品目と、携帯ゲーム機やスマートウォッチなどの指定外品目10品目の計15品目が選定された。
輸入比率に関する調査では、スマートウォッチが98%、スマートスピーカーが90%と指定外品目で高い輸入比率が確認された一方、指定品目である電気歯ブラシも59%と上昇傾向にあることが判明した。国内市場投入量については、携帯ゲーム機やタブレット端末などで増加傾向が見られ、今後も市場拡大が想定される品目が複数存在することが明らかとなった。
易解体設計の調査では、複数の指定外品目において電池の取り外しが不可能であることが確認された。この背景には、薄型化などの消費者ニーズへの対応や安全性の確保といった技術的制約が存在している。電池一体型製品については、製品ごとの回収が現実的な解決策として位置づけられている。
有識者検討会を通じて、6つの主要論点が設定された。指定品目の追加、輸入販売事業者への責務適用、実効性確保の取組強化、電池一体型製品の回収方法、流通実態把握、消費者行動変容の促進である。これらの検討を踏まえ、密閉形蓄電池使用製品の多様化に対応した指定品目の拡大や、輸入販売事業者に対する環境配慮設計責務の適用などが提言されている。
しかしながら、資源有効利用促進法は促進法としての性格上、近年増加するリチウム蓄電池起因の発火・発煙事故の抜本的解決には限界があることも指摘されている。そのため、製造事業者、自治体、消費者などの各主体による適切な役割分担と、関係省庁の連携による包括的な対策の必要性が強調されている。
