令和3年度石油・ガス供給等に係る保安対策調査等委託事業災害時におけるLPガス設備の情報収集の迅速化に関する調査検討事業報告書(公表用)

掲載日: 2022年11月17日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業保安グループガス安全室
委託事業者: 高圧ガス保安協会
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報告書概要

この報告は、災害時におけるLPガス設備の情報収集の迅速化について書かれた報告書である。近年の激甚化する自然災害において、水害によるLPガス容器の流出被害が深刻化しており、令和元年台風19号では1都11県で303本、平成30年7月豪雨では1府10県で580本の容器流出が確認されている。液化石油ガス安全高度化計画2030では、災害に備えた体制構築、迅速な情報把握、容器の転倒・流出防止対策が重要な観点として示されているが、特に迅速な情報把握については、土砂災害等により立入禁止区域が設定され、被害の全容把握が長期間困難な状況が継続している。この問題を解決するため、現状の情報収集方法について調査を行い、課題を整理し、解決策を検討した。調査方法として、LPガス事業者及び関係機関を対象としたアンケート調査とヒアリング調査を実施し、災害時の情報収集における実態と課題を把握した。調査結果から、情報収集の迅速化を阻害する主要な課題として、LPガスの所在地を国・自治体が把握していないため災害発生初期段階で流出事故の可能性を把握できない課題、災害収束後の立ち入り困難地域や海域での効率的な流出調査が困難な課題、LPガス事業者による現地調査時の効率的な調査・情報共有が困難な課題の3つが特定された。これらの課題に対する解決策として、オープンソースを活用したLPガス所在地の把握方法、国・自治体によるドローンを活用した流出調査の実施、災害時LPガス流出リスクが高い地域の推定、ITを活用したLPガス流出把握システムの構築、LPガス事業者の現地調査に係る情報共有システムの開発の5つの対応策を提案している。特に情報共有システムについては、災害情報プラットフォームとの連携を可能とし、LPガス事業者がスマートフォン等を活用して効率的に情報収集・伝達を行えるシステムの構築を想定している。この報告書の検討結果を参考として、LPガス流出事故の迅速な情報収集と情報公開の実現が期待される。