令和3年度宇宙開発利用推進研究開発(月面におけるエネルギー関連技術開発(技術課題整理))報告書

掲載日: 2022年12月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 製造産業局航空機武器宇宙産業課宇宙産業室
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報告書概要

この報告は、月面におけるエネルギー関連技術開発の技術課題整理について書かれた報告書である。経済産業省からの委託により、株式会社三菱総合研究所と一般財団法人日本宇宙フォーラムが令和3年度に実施した調査研究の成果をまとめている。報告書は月面でのエネルギー供給システム構築に向けた水素と電力の2つの主要分野について詳細な技術課題整理を行っている。

水素分野では、月面の水資源から水素を生成するプロセス全体のバリューチェーンを分析し、探査、輸送・移動、熱抽出、水抽出、水電解、液化、貯蔵の各段階における技術課題を整理している。特に永久影領域での水氷探査技術、サーマルマイニングによる熱抽出技術、水電解による水素生成技術について具体的な検討を進めている。また水素生成のタイミングに関するケーススタディも実施し、運用シナリオ別の課題を明確化している。

電力分野では、月面での電力供給システムを5段階の発展段階に分けて検討し、各段階における技術要求事項を整理している。月周辺軌道での太陽光発電システム、月面設置型発電システム、送電システム、蓄電システム、輸送システムについて技術課題を分析している。特に月周辺軌道太陽光発電システムでは、高効率太陽電池技術、マイクロ波無線送電技術、大型構造物展開技術が重要な課題として特定されている。また月面での無線送電技術についても詳細な検討を行っている。

国内外動向調査では、各国の月探査計画におけるISRU技術開発状況、民間企業の技術開発動向、発電・蓄電・送電関連技術の最新動向を調査している。特に米国、欧州、中国における月面エネルギー技術開発の取り組み状況を詳細に分析し、日本の技術開発における位置づけを明確化している。報告書では今後の技術開発における重点領域として、月面環境に適応した高効率エネルギーシステムの開発が必要であるとしている。