令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(地域課題解決に向けた次世代の地域活性化キーパーソンの発掘およびネットワーク構築事業)報告書

掲載日: 2022年12月16日
委託元: 経済産業省
担当課室: 近畿経済産業局総務企画部中小企業政策調査課
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令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(地域課題解決に向けた次世代の地域活性化キーパーソンの発掘およびネットワーク構築事業)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、地域課題解決に向けた次世代の地域活性化キーパーソンの発掘およびネットワーク構築事業について書かれた報告書である。経済産業省近畿経済産業局が委託事業として実施した本調査は、人口減少社会において多様な地域課題に直面する中で、既存の行政主導のアプローチでは限界を感じる現状を背景としている。報告書では、地域内に閉じて活動している若きキーパーソンに焦点を当て、彼らを発掘し、シニアキーパーソンや地域プレーヤーとのネットワーク構築を通じて地域活性化の促進を目指している。

調査方法として、滋賀県、大阪府、兵庫県などの関西地域を中心とした若手キーパーソン11名に対するヒアリング調査を実施し、地域活性化に取り組む多様な事業者の活動実態を把握した。また、福島県西会津町、奈良県生駒市、大阪府大東市の自治体職員へのヒアリングを通じて、キーパーソンとの連携における課題と成功要因を分析している。さらに3回のセミナーを開催し、キーパーソン同士や自治体、企業等の間でのネットワーク構築と課題共有を図った。

調査結果から、若きキーパーソンが抱える主要な課題として、自治体担当者の異動による継続性の問題、行政との言語や文化の違い、地域内でのネットワークの限界などが明らかになった。一方、成功している自治体では、職員が地域の人と人をつなぐハブとしての役割を果たし、長期的な関係性構築に注力していることが判明した。特に、自治体職員自身がキーパーソンとしての資質を持ち、市民との信頼関係を基盤とした協働体制を構築している事例が効果的である。

キーパーソンが自治体に求める要素として、担当者の継続性確保、後方支援に徹した役割分担、ワンストップ窓口の設置などが挙げられる。自治体側には、地域の取組に積極的に参加し関係性を築くこと、民間同士を結びつけるつなぎ役としての機能、そして職員自身が広いネットワークを持つことが重要であることが示されている。成功事例では、行政がルールの管理者として適切な"さばき"を行い、キーパーソンの活動を制度的にサポートしている。

報告書は最終的に、地域活性化における若きキーパーソンの重要性を確認し、彼らと自治体との効果的な連携モデルの構築が地域の持続可能な発展に不可欠であることを結論づけている。