令和3年度地域経済産業活性化対策調査事業(書店業界をモデルケースとする大企業リソースを活用した地域中小企業の成長 ・発展に関する実証調査)実施報告書
報告書概要
この報告は、書店業界をモデルケースとして大企業リソースを活用した地域中小企業の成長・発展について実証調査を行った報告書である。令和3年度に日本出版販売株式会社が事務局となり、啓文社、フタバ図書、ブックオフコーポレーション、蔦屋書店などの書店企業と専門家、広島・岡山・徳島・山口の中小企業・ベンチャー企業が業界の垣根を越えて参画し、新たな商品やサービスの開発を検討した。コロナ禍で人と会えない状況において「大切な人に本と素敵な読書時間を贈る」というアイデアを核として「プレ読」という企画を立ち上げ、読書のプレミアム化とプレゼント化を目標に設定した。五感に訴える商品開発のコンセプトのもと、キャンドルグラス、アロマセット、フレーバーティセット、樹のブックカバー、音楽プレイリストの5種類のプロダクトを地域企業との協力により開発した。各商品は個別企業の特長を活かしつつ、統一されたデザインとコンセプトで制作され、計20店舗において実証キャンペーンを展開した。メディア掲載により注目を集め、書店業界の新たな市場創出の可能性を示した。検討会を通じて直接の競合企業同士が協業する貴重な機会となり、小売事業者が商品開発に携わる意義が確認された。しかし多数の異なる立場の参加者による連絡調整の煩雑さや、業界外参加者への情報共有の手間といった課題も浮き彫りになった。今後は業界に対する影響力を持つ大企業が専門部署を設置し、調整役を担うことが望ましいとされる。
