令和3年度地域経済産業活性化対策調査事業(SDGs時代のローカル大企業による資本出資のあり方調査)報告書
報告書概要
この報告は、ローカル大企業による地域中小企業への資本参画を通じた地域経済活性化について書かれた報告書である。第4次産業革命やSociety 5.0実現に向けたオープンイノベーション推進により、大企業とスタートアップ企業間の連携が増加している中、中国地域においてもローカル大企業によるCVC設立等の動きが見られるものの、スタートアップ企業への資金供給は東京都に集中しており、地域企業への十分な資金提供が行われていない現状がある。人口減少・少子高齢化が進む地域では、デジタル技術等を用いた産業変革や地域活性化に取り組む創業初期企業や新規事業展開を行う中小企業が「資金調達」や「人材確保」に課題を抱えており、また事業承継問題も深刻化している。本調査では、基礎調査により大企業のオープンイノベーション動向と中小企業のライフサイクル別資金調達ニーズを整理し、ローカル大企業による資本参画が期待される投資領域として「幼年期の成長資金調達」と「成熟期の事業承継」を設定した。ヒアリング調査により、ローカル大企業側の課題として企業価値評価ノウハウ不足、投資コスト負担、経営支援ノウハウ不足等が明らかになった。これらの課題に対し、パートナーファンドとの協調出資によるマイノリティ投資スキーム、段階的出資による投資リスク軽減、制度・補助による支援、新たなインパクト投資リターンの考え方等を提案している。ローカル大企業の資本参画により地域にヒト・モノ・カネ・情報を呼び込み、地域産業に好循環を生み出すインパクトを与えることで、地域発のオープンイノベーション創出と地域の持続的発展への可能性があることが示されている。
