令和3年度産業経済研究委託事業(新たな託送料金制度における定量的な分析手法の更なる検討及び諸外国等の託送料金制度に係る調査事業)調査報告書

掲載日: 2022年12月23日
委託元: 経済産業省
担当課室: 電力・ガス取引監視等委員会ネットワーク事業監視課ネットワーク事業制度企画室
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報告書概要

この報告は、新たな託送料金制度における定量的な分析手法の更なる検討及び諸外国等の託送料金制度について書かれた報告書である。

欧州各国の託送料金制度について詳細な調査が実施され、送電及び配電の両面から分析が行われている。ACERによるレートメーク理論では、送電事業者のコスト回収と効率化促進を両立させることが困難であるとされ、無差別性、透明性、簡素化、予測可能性、持続可能性等の原則のバランスを取る必要があるとされている。

発電側課金制度については、欧州各国で導入状況が大きく異なり、フィンランド、英国、アイルランド等の島国・半島諸国で課金比率が高く、大陸側諸国で低い傾向が明確に示されている。また、電圧別料金制度は一部の国でのみ導入されており、特にフランスでは発電側課金に対しても電圧別料金が適用されている。季時別料金についても、フランス、ノルウェー、英国等で導入されているが、その区分方法は各国で異なっている。

調査結果から得られる日本への示唆として、地理的要因では地点別料金の導入に阻害要因は少ないものの、10電力会社毎に送電エリアが分割されている現状を考慮する必要があることが指摘されている。日本は国際連系線のない島国であり系統構成もシンプルであるため地点別料金を設計しやすい環境にあるが、需要地が全国に分散している特徴から、緯度ベースのシンプルな地点別料金適用は困難であり、英国のような系統モデルを用いた実潮流反映型の設計が望ましいとされている。