令和3年度地域経済産業活性化対策調査事業(コーディネーター人材及び支援施策を活用したスタートアップ企業の実効的な成長支援モデルの調査・構築事業)報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に実施されたコーディネーター人材及び支援施策を活用したスタートアップ企業の実効的な成長支援モデルの調査・構築事業について書かれた報告書である。
近年、我が国ではスタートアップ創出力の強化が成長戦略の重要分野として位置づけられており、2020年度には大学発ベンチャー企業数が2,901社と過去最高を記録している。北海道においても、POLAR SHORTCUT1号ファンドや札幌イノベーションファンドの組成、J-Startup HOKKAIDOの始動など、スタートアップ環境の整備が大きく進展している。
本事業では、スタートアップ支援に精通した3名程度のコーディネーターを選定し、J-Startup HOKKAIDO認定企業等から支援候補先を選定して課題を特定した。その上で、コーディネーターの専門的見地と北海道経済産業局の支援施策を組み合わせた一体型の個別支援を実施した。また、道内スタートアップ企業とVC・CVC等の外部リソースとのマッチング機会を提供し、継続的な関係構築を支援した。
支援対象企業の多くは起業前から起業直後、シード・アーリーステージの事業者であり、人材採用、資金調達、ビジネスモデルなど多種多様な課題を抱えていた。コーディネーター支援では事業計画策定や資金調達戦略立案、専門家支援では知財戦略や法務対応などの具体的支援を行った結果、多くの企業で課題解決と成長促進が図られた。
地方部におけるスタートアップ・エコシステムの課題として、成長軌道に乗った企業のロールモデルが少なく、好循環が生まれにくい状況がある。そのため、起業・創出フェーズから成長軌道に乗せるまでの実効的な支援が不可欠であり、今後は中長期の支援プログラムとして計画的に支援することや、次代の起業家・スタートアップの発掘・成長支援がより重要となる。本事業を通じて構築された支援モデルの効果測定と成果事例の情報発信により、他地域への普及と道内スタートアップ企業のプロモーションを図った。
