令和3年度ものづくり中小企業事業化支援調査事業(管内サポイン企業におけるオープンイノベーション推進に向けた事業化支援調査) 報告書
報告書概要
この報告は、東北地域のサポイン事業者(戦略的基盤技術高度化支援事業の事業者)におけるオープンイノベーション推進に向けた事業化支援調査について書かれた報告書である。
サポイン事業は中小企業者が川下産業企業と連携し、付加価値の高い製品を生み出す革新的な研究開発や事業化に向けた取組みである。事業終了後5年以内の事業化を目標としているが、「研究開発に関する自社リソースの不足」や「販路開拓における自社リソースの不足」により、当初想定していた事業化目標を達成しない事例も一定数存在している。そのため、本事業では東北管内サポイン事業者のオープンイノベーション推進を通じた新事業展開及び事業化の促進を図ることを目的として実施された。
事業内容は大きく4つに分かれている。まず、マッチング等に向けたオープンイノベーション意識の醸成として、東北管内のサポイン事業者約180社を対象に、オンラインセミナー「オープンイノベーションでひらく!新市場、新領域への展開セミナー」を開催した。サクラテック株式会社とグローバルヘルス社の成功事例紹介を行い、参加者から高い評価を得た。
次に、オープンイノベーション推進企業の選定と専門家によるフォローアップでは、公募により9社を選定し、専門家による訪問を実施した。各社の保有技術や事業展開可能性を整理・分析し、オープンイノベーション連携の可能性を調査するとともに、新分野・市場企業等へのアプローチ手法について助言を行った。
さらに、サポイン事業者と大手・中堅企業等がオープンイノベーションに取り組むためのマッチング支援では、選定した9社に対し、1対1の個別マッチングとオンラインによるシーズプッシュ型イベントを介したマッチングを実施した。個別マッチングでは延べ15社との面談が実現し、シーズプッシュ型イベントでは「東北発!次世代ものづくり技術」をテーマとして開催された。
事業評価として、技術の新用途探索のプロセスやフレームは有用であり、各社とも技術の売込みではなく自社技術の顧客価値を見出し、新用途のアイデアを発想できるようになったことが確認された。仮想カタログ作成支援により、提案型営業への転換も図られた。個別マッチングは通常接点を持てない業界・企業との議論の場となり、新しい発想や課題を知る機会として評価された。
今後に向けた提言として、オープンイノベーション意識の醸成、推進企業の技術完成度向上、シーズプッシュ型ピッチイベントの見直し、提案資料作成能力の向上が必要であると整理された。具体的な支援策として、技術開発支援、特定企業とのマッチングイベント、提案資料スキルアップ教育の3つが提案されている。
