令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(電力の安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けた国内外の電力産業政策等の動向に関する調査)報告書

掲載日: 2023年1月6日
委託元: 経済産業省
担当課室: 資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課
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令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(電力の安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けた国内外の電力産業政策等の動向に関する調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、電力の安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けた国内外の電力産業政策等の動向について書かれた報告書である。

我が国では2016年の小売全面自由化後、中長期的な供給力・調整力確保のため容量市場が導入され、広域機関が運営している。2021年10月の第6次エネルギー基本計画では、脱炭素化と安定供給実現に向けた電力システム構築において、供給力確保の強化策及び枠組の検討が示された。電力・ガス基本政策小委員会では、供給能力確保義務の在り方や中長期を見据えた供給力確保の仕組みについて諸外国の政策動向を鑑みつつ検討を実施している。

諸外国における供給力確保の仕組みには、容量市場、戦略的予備力、長期的電源投資入札などに加え、希少価格による手法など様々なメカニズムが存在する。欧州では2019年EU域内電力市場規則において、リソースアデカシーや信頼度基準の考え方、容量メカニズムの一般原則・設計原則が規定されている。同規則では発電設備のCO2排出制限要件も定められており、2019年7月以降は550g-CO2/kWh超の新規設備、2025年7月以降は既存設備も含めて参加制限が設けられた。

容量メカニズムの導入状況を見ると、2020年末時点で4つの異なるタイプが12の加盟国に適用されており、EU全体の総費用は約26億ユーロであった。今後ポーランドやイタリアでの運用開始により、2022年には53億ユーロまで増加する見込みである。米国においてもPJMやERCOTなど地域により異なる供給力確保策が採用されている。

カーボンニュートラルに向けた火力発電関連政策では、各国が脱炭素化を進めながらも電力安定供給を維持するための制度設計を模索している。欧州では石炭火力の段階的廃止に向けた補償制度や、熱電併給システムの燃料転換支援などが実施されており、電力市場の安定的な運用と脱炭素政策の両立が重要な課題となっている。