令和3年度質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業 インド国・ムンバイ沿岸(バーソバ~ビラール間)海上道路建設計画調査最終報告書(英語版)
報告書概要
この報告は、インド・ムンバイ沿岸高速道路プロジェクト(ベルソバ・ビラル海上連絡道路、VVSL)の予備フィージビリティスタディの見直しについて書かれた報告書である。本プロジェクトは、ムンバイ沿岸から約1キロメートル沖合に43キロメートルの海上道路を建設し、加えて約60キロメートルの郊外道路、接続道路、ジャンクションを含む総延長101キロメートルの大規模道路建設事業となっている。
マハラシュトラ州道路開発公社(MSRDC)が実施主体として選定され、日本の円借款による資金調達とともに日本企業の建設・運営への参加可能性を高めることを目的として検討が行われた。海上道路区間には船舶通航のための6つの航路チャンネルが設置され、これらの区間には日本の鋼橋技術の適用が提案されている。
交通需要予測では、2030年時点でVVSL本線の日交通量を66,000台と保守的に算出し、2050年まで予測を行った。技術仕様の検討において、沖合1キロメートルの海上ルートが最適案として選定され、日本の設計基準適用の妥当性が実証された。主要部分には50メートルスパンのPCボックス桁橋を採用し、航路部分には日本技術の連続鋼床版箱桁橋を経済的解決策として提案している。
プロジェクト総工事費は全ルート建設の場合5528億円(36,134クロール・インドルピー)と見積もられ、建設期間は6年間と想定されている。経済分析では経済的内部収益率13.1%を達成し、厳しい条件下でも11.2%となることから経済的に有効なインフラプロジェクトとして推奨される。実施スキームとしては、PPP方式の適用は困難と判断され、EPC調達方式による公共事業として実施することが提案されている。環境アセスメントでは、JICA環境社会配慮ガイドラインに基づく評価が行われ、マングローブ保護や野生動物保護区への配慮、年間12万トンのCO2削減効果が算出されている。
