令和3年度北海道におけるMaaS実装化に資する収益循環モデルの事業性調査・分析事業「江差マース」事業実施報告書
報告書概要
この報告は、北海道江差町におけるMaaS(Mobility as a Service)の実装化に向けた収益循環モデルの事業性調査について書かれた報告書である。サツドラホールディングス株式会社が令和3年度に実施した「江差マース」事業では、自治体からの補助金に依存しない持続可能なモビリティサービスの構築を目的として、公共交通空白地帯の住民に対してオンデマンドのジャンボハイヤーによる輸送サービスを提供した。実証実験では利用登録者69名のうち実際の利用者は32名となり、延べ利用回数は111回という結果となった。利用者の3分の2が女性で、50代以上が7割を占め、アプリと音声ツールの利用はほぼ半々であった。収益面では、サツドラ店舗において江差マース利用者の購入金額が通常月の3.8倍に増加するという経済効果が確認された。しかし、現在のサービス内容では利用者数が200人に増加しても収益循環モデルの成立は困難であることが判明した。今回の実証で得られた知見として、新たな移動手段の提供により確実に経済活動に影響を与えることが立証され、地域事業者の収益拡大機会となる可能性が示された。今後の課題として、事業規模の拡大、収益獲得項目と還元プレイヤーの多様化、付帯収入の再考などが挙げられ、自治体・交通事業者・小売事業者・データプラットフォーム提供事業者による新たな協力関係の構築により、地域交通課題に取り組む土台が形成されたとしている。
