令和3年度中小企業実態調査委託費(経営力向上計画の生産性向上に資する効果についての調査研究)調査報告書
報告書概要
この報告は、経営力向上計画の生産性向上効果について書かれた報告書である。中小企業等経営力強化法に基づく経営力向上計画制度において、計画認定を受けた事業者と未認定事業者の生産性等を比較分析することにより、制度の効果検証を行った調査研究の結果をまとめている。
調査は令和3年度に実施され、経営力向上計画が未認定の9,524事業者を対象としたアンケート調査を中心として構成されている。調査方法はWebアンケート方式を採用し、令和4年1月から2月にかけて実施した結果、2,075事業者から回答を得て回収率21.8%を達成した。標本抽出については、平成28年経済センサス活動調査における中小企業の分布を踏まえて産業別構成比を設定し、大手信用調査会社の企業情報データベースをもとに無作為抽出を行った。
アンケート項目は、中小企業庁が別途実施した認定事業者向けアンケートとの比較を可能とするため、売上高、従業員数、営業利益、労働生産性等の経営指標の変化に関する質問を中心として設計された。調査対象事業者の資本金分布では「1,000万円超~3,000万円以下」が28.0%で最も高く、次いで「500万円以下」が26.9%、「500万円超~1,000万円以下」が25.8%となっている。
本調査の目的は、経営力向上計画制度開始から5年以上が経過した段階で、計画策定による効果を検証し制度見直しの方向性を検討することにある。認定事業者は令和3年3月末時点で約12万者に達し、経営強化税制の適用による即時償却5,685億円、税額控除約139億円の実績を上げているが、未認定事業者の現状調査は従来実施されていなかった。この比較分析により、経営力向上計画が生産性向上に資する取組となっているかを検証し、今後の制度運用方針を決定する基礎資料とした。
