令和3年度産業経済研究委託事業(事業再生の円滑化に関する調査等)英独仏韓における多数決原理に基づく倒産前手続(私的整理手続)に関する調査報告書

掲載日: 2023年1月27日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局産業創造課
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令和3年度産業経済研究委託事業(事業再生の円滑化に関する調査等)英独仏韓における多数決原理に基づく倒産前手続(私的整理手続)に関する調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、英独仏韓における多数決原理に基づく倒産前手続に関する調査について書かれた報告書である。英国では、Scheme of Arrangement、Restructuring Plan、Company Voluntary Arrangementなどの手続があり、いずれも裁判所の関与のもとで債権者の多数決により企業再建を図る制度となっている。英国の特徴として、事業上正当な理由に基づく債権者の選別が認められており、完全な情報開示と裁判所による審査を通じて手続の適正性が確保されている。ドイツでは2021年にStaRUG法が施行され、差し迫った支払不能状況にある企業を対象とした新たな再建手続が導入された。同手続では再建裁判所の限定的な関与のもと、適切な基準による権利者の選別と安定化命令による一時停止効が認められている。フランスでは任意調停手続と調停手続を前置とする迅速再生手続が新設され、商業裁判所と倒産実務家の関与のもとで企業再建が行われている。韓国では金融機関主導の共同管理手続があり、主債権銀行と金融債権者協議会が中心となって企業改善計画を策定し、債権行使猶予のもとで再建を進める仕組みが整備されている。各国とも多数決原理を基礎としながら、反対債権者の保護措置や手続の適正性確保のための制度的工夫が講じられており、企業の早期再建と関係者の利害調整を両立させる制度設計となっている。