令和3年度展示会等のイベント産業高度化推進事業(ファッションビジネスの新市場獲得時の留意事項に関する調査)(要約版)

掲載日: 2023年2月3日
委託元: 経済産業省
担当課室: 商務・サービスグループクールジャパン政策課
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報告書概要

この報告は、日本のファッションブランドが新市場へ進出する際の課題と留意事項について書かれた報告書である。国内市場の縮小、人口減少、少子高齢化といった環境変化に対応するため、ファッション分野における海外需要獲得が最重要テーマとなっているが、海外進出には多くの課題が存在している。

日本のファッションブランドが新市場進出時に必要な知識は、デジタル市場への進出と海外市場に関する二つの分野に大別される。デジタル市場分野では、メタバースやNFTの急激な拡大により、ファッションブランドの名称やロゴがデジタル上で模倣されたり、第三者による無断商標出願といった問題が発生している。このため、バーチャルグッズ等に関する商標出願の事前検討、各国法制度の専門家との相談、デジタルファッション技術の特許保護、NFTクリエイターとの協業検討が重要となる。

海外市場分野では、進出先国における契約交渉を含む商慣習、VAT(付加価値税)の複雑な仕組み、消費者契約法の理解が必要である。さらに、文化の盗用、人権・ジェンダー問題、サステナビリティの視点も欠かせない要素となっている。これらの課題に対しては、進出対象国の商慣習や消費者保護法の事前理解、文化的配慮、欧米で高まるサステナブル意識への対応が求められる。

これらの専門性の高い課題に対し、国や政府など公的機関による支援体制の整備が不可欠である。具体的には、デジタル市場分野、知的財産法・消費者保護法・契約関連、サステナビリティ条項、文化の盗用・人種差別・ジェンダー等の四分野における専門窓口や機関の創設が望まれている。これらの支援体制は個別企業への支援にとどまらず、ファッション産業全体の活性化につながると考えられている。