令和3年度地球温暖化対策における国際機関等連携事業委託費(「TCFDサミット」開催及び各国サステナブル・ファイナンス政策等の動向調査に関する委託調査)報告書

掲載日: 2023年2月10日
委託元: 経済産業省
担当課室: 産業技術環境局環境政策課環境経済室
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令和3年度地球温暖化対策における国際機関等連携事業委託費(「TCFDサミット」開催及び各国サステナブル・ファイナンス政策等の動向調査に関する委託調査)報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、令和3年度に開催されたTCFDサミット2021について書かれた報告書である。本報告書は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言の実装推進を目的として開催された国際会議の成果と、関連する政策動向調査結果をまとめたものである。

会議は2021年10月5日にオンライン形式で開催され、世界120か国以上が2050年カーボンニュートラルを宣言する中、企業の気候変動情報開示の重要性が一層高まる背景のもとで実施された。この時点でTCFD賛同者は世界2,529機関、日本509機関まで拡大していた。経済産業大臣、欧州委員会副委員長、COP26財務アドバイザーなど国内外の政府関係者、年金積立金管理運用独立行政法人、日本経済団体連合会、東京証券取引所といった機関投資家や産業界のリーダー、さらにアジア各国の金融機関や企業の代表が参加した。

サミットでは五つの主要な成果が共有された。第一に、投資家によるカーボンニュートラルへのコミットメントは、単純なダイベストメントではなく、投資先企業とのエンゲージメントを通じて達成することが重要であるとの認識が示された。第二に、サプライチェーン全体での排出削減が重要である中、スコープ3排出量については実践面での課題解決のために算定方法の確立が必要であり、形式的なチェックボックス方式に陥らず、その背景理解も重要であることが確認された。第三に、化石燃料への依存度が高いアジアを中心として、世界的にトランジション・ファイナンスは不可欠であり、企業の開示においてトランジション戦略が明示されることの重要性が議論された。第四に、日本のTCFDコンソーシアムの活動をきっかけとして、メキシコをはじめとする海外でもコンソーシアム設立に向けた動きがあり、日本からの貢献が世界的な開示拡大に果たす役割の大きさが認識された。第五に、企業と投資家の対話深化を目的とした「グリーン投資ガイダンス2.0」と、イノベーション推進のための「ゼロエミチャレンジ第2弾」が発信された。