令和3年度原子力の利用状況等に関する調査事業(多核種除去設備等処理水の処分技術等に関する調査研究)調査報告書
報告書概要
この報告は、福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の取扱いに関する処分技術等について調査した報告書である。原子力災害対策本部が令和3年4月に公表した基本方針において、トリチウム分離技術は現状では濃度や量の観点からALPS処理水にそのまま適用できないとされたが、引き続き新たな技術動向を注視し、実用可能な技術があれば積極的に取り入れることとしている。本調査事業では、ALPS処理水の取扱い方法の検討に資するため、分離技術等トリチウムに関する国内外の最新研究状況を調査し、必要な資料作成を実施した。調査内容は、トリチウム等ALPS処理水の取扱いに関する基礎的情報の提供、多核種除去設備等処理水に関連するデータの収集・分析支援、およびトリチウム分離技術の調査の3つの項目から構成されている。トリチウムの生物学的効果比については、国際放射線防護委員会の最新の議論を調査し、ICRP Publication 148の内容を中心に検討した結果、現時点において放射線加重係数を従来の「1」から変更する必要はなく、線量換算係数の見直しも不要であることが確認された。また、主要国における原子力施設からのトリチウム排出実績や環境中濃度データを収集し、日本の原発立地地域における状況と比較検討を行った。トリチウム分離技術については、液相化学同位体交換法、気相化学同位体交換法、蒸留法、膜分離法などの各種手法を調査し、それぞれの特徴や分離効果について分析を実施した。
