令和3年度新エネルギー等の導入促進のための広報等事業(地域での洋上風力発電に関する案件形成の促進に向けた調査事業)報告書
報告書概要
この報告は、洋上風力発電に関する案件形成の促進に向けた調査事業について書かれた報告書である。
令和3年度に経済産業省資源エネルギー庁が公益財団法人海洋生物環境研究所に委託した本調査は、2050年カーボンニュートラル実現の切り札である洋上風力発電の導入拡大を目的としている。政府は2030年までに1000万kW、2040年までに浮体式も含む3000万kWから4500万kWの案件形成を目標として掲げており、この目標達成には継続的な新規案件創出が不可欠である。
本事業は四つの主要分野から構成されている。第一に、個別地域における案件形成に向けた導入可能性調査として、北海道留萌市、石狩市、江差町檜山沖、岩手県野田村・普代村、島根県隠岐の島町を対象とした調査を実施した。これらの地域において再エネ海域利用法に基づく促進区域指定に向けた情報収集と関係者との調整に必要な情報を収集した。
第二に、地域・漁業との共生のために出捐される基金を活用した振興策の検討を行った。国内外の既存基金の運用状況や地域・漁業振興策の取組事例を調査し、洋上風力発電事業と地域の共生に向けた基金活用方策を検討した。
第三に、日本近海の漁業実態に関する基礎情報整理を実施した。漁業権漁業、許可漁業、自由漁業の分類に基づき、全国9つの大海区区分別に漁業権設定状況、漁獲量、産出額、主要漁業種類および漁獲対象種、漁獲時期等の詳細な分析を行った。さらに回遊性魚種や知事許可漁業、大臣許可漁業の実態も整理した。
第四に、洋上風力発電事業に伴う漁業影響に関する既知情報の整理を行った。水中音、海底振動、電磁界が魚類に与える影響について既存研究を分析し、杭打ち工事による騒音・振動の生物への物理的、生理的、行動的影響を詳細に検討した。また魚礁効果や操業への影響、流況変化、シャドーフリッカー等の副次的影響についても調査した。
