令和3年度質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業(スコットランドにおける洋上風力電力による洋上浮体式水素製造プラントの技術検証と事業化初期調査)報告書
報告書概要
この報告は、スコットランドにおける洋上風力発電を活用した浮体式水素製造プラントの技術検証と事業化に関する調査を実施した報告書である。欧州では天然ガス代替として水素燃料の多様化が求められており、北海ガス田の枯渇により相対的に水素需要が増加している。洋上風力発電は供給能力が需要を上回ることが予想され、余剰電力をグリーン水素製造に活用することで事業全体の収益性向上が期待される。
調査では世界の洋上風力発電の現状と見通し、水素需要の動向、電力コストおよび水素価格について詳細に分析した。スコットランドの洋上風力発電における電力供給条件を調査し、水素製造プラントの規模条件と主要設備の仕様を検討した。水電解装置については、浮体の揺動への対応、塩害環境での適用、省スペース化、風力電力の変動への追従性などの技術課題を整理した。
浮体設計では、想定海域の海象条件を調査し、海洋構造物の形式と係留方式を検討した。係留装置については電力受け取り、水素ガス送出、緊急時対応を含む技術課題を整理した。事業モデルとして浮体水素設備傭船方式を検討し、経済性については感度分析を含む事業性試算を実施した。
CO2削減効果の観点では、洋上風力によるグリーン水素がブルー水素と比較して大幅な削減効果を持つことを確認した。調査結果として、浮体式水素製造プラントのコンセプトについて日本海事協会より基本承認を取得し、技術的実現可能性が第三者機関により評価された。今後は実証試験を通じた技術確立と事業化に向けた検討が必要とされる。
