令和3年度「新エネルギー等の導入促進のための広報等事業委託費における再エネ導入・運転人材育成支援事業(木質バイオマス発電における人材育成)」テキスト
報告書概要
この報告は、木質バイオマス発電における人材育成について書かれた報告書である。日本は国土の65%が森林であり、人工林が国土の1/4を占める世界屈指の森林資源を有している。第6次エネルギー基本計画では、2030年に向けて再生可能エネルギーが主力電源化され、バイオマスエネルギーがそのうち5/38を担うことが計画されている。木質バイオマスエネルギー利用の意義として、地球温暖化防止、森林所有者への経済価値還元による森林整備促進、エネルギー購入代金の地域内循環、雇用創出などが挙げられる。デンマーク等の北欧では1973年のオイルショックを契機として木質バイオマスの社会実装が本格化し、国民の健康を優先した集中暖房システムが構築された。日本における木質バイオマス発電では、燃料供給の安定性確保が重要な課題となっており、自社完結型、チップ専門業者への外注、協力事業体との連携などの供給システムが展開されている。木質バイオマス発電の特長は、太陽光や風力発電と異なり燃料を集める必要があることであり、サプライチェーンにおいて水分管理、品質評価、加工、季節変動などの知識とデータ共有が供給側と需要側双方に求められる。発電所においても燃料特性に関する知識と経験の積み重ねが必要であり、技術者の専門性向上が重要となっている。地域共生の観点では、発電所の存在意義を市民へのインタープリテーションを通じて伝えることが不可欠である。本テキストは、燃料管理、安全・法規・技術倫理、運転監視・制御、予防保全・メンテナンス、経営改善、地域共生・レジリエンス強化の6つの章から構成され、木質バイオマス発電所の運営に必要な包括的な知識と技術が体系的にまとめられている。
