令和3年度重要技術管理体制強化事業(我が国におけるX線CTを用いたCPE体制構築可能性調査)調査報告書(公開版)

掲載日: 2023年3月2日
委託元: 経済産業省
担当課室: 貿易経済協力局貿易管理部安全保障貿易管理政策課技術調査室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和3年度重要技術管理体制強化事業(我が国におけるX線CTを用いたCPE体制構築可能性調査)調査報告書(公開版)のサムネイル

報告書概要

この報告は、我が国におけるX線CTを用いたサイバー・フィジカル・エンジニアリング(CPE)体制構築可能性について書かれた報告書である。自動車産業ではCASEパラダイムシフトが進み、新興メーカーの台頭による産業構造変革に直面している中で、超大型X線CT装置による車両全体撮像と画像解析により構造部材や配線配置をデジタル化し、3D-CADデータとして活用する技術が急速に発展している。CPE技術は製造技術の企画から生産までの全工程をサイバー空間で効率的に支援し、自動車産業のみならず他産業への拡がりが期待される技術である。本調査では技術進化の著しい中国製電気自動車を例として、部品の3D計測と材料分析によるリバースエンジニアリングを実施し、各種CAEシミュレーションモデル作製と検証を通じて基盤技術の試験研究を行った。サイバー・フィジカル・エンジニアリング技術研究組合の11社体制により、NIO EC6およびES8を対象車両として選定し、車両分解、形状計測、BOM分析を実施した。光学スキャナーを中心とした計測手法にX線CT装置を組み合わせた統合アプローチを採用し、車両全体は光学スキャナー、ボディ骨格とバッテリーはX線CTによる計測を行った。海外先行事例として米国Caresoft社、ドイツTecosim社、米国A2Mac1社の比較分析を実施し、CAE展開に最も注力しているCaresoft社との技術比較を行った。調査結果から中国EVメーカーNIOがアルミフレーム構造と接着剤多用による日本自動車産業とは異質な技術戦略を採用していることが判明し、SDGsリサイクル観点でも先進的取り組みを行っていることが明らかとなった。