令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(世界経済の長期トレンドに関する調査)
報告書概要
この報告は、世界経済の長期トレンドに関する調査について書かれた報告書である。本調査は経済産業省通商政策局の委託により三菱UFJリサーチ&コンサルティングが実施したものである。多くの主要国において低金利環境が長期に継続し、低成長・低インフレなど世界的な長期停滞が続く中、新型コロナウイルス感染拡大によってさらに不確実性が高まっている状況を受けて実施された。日本においても同様の長期停滞状況にあり、今後の政策立案において長期トレンドの把握・分析と将来展望が不可欠となっている。調査は6つの主要テーマから構成される。長期停滞については、先進主要国の低金利・低成長・低インフレ等の動向を学術論文を参考に分析し、特にコロナショック後の状況変化に焦点を当てている。グローバルなデジタル化については、多くの産業・生活面でのデジタル化進展を政策・技術・ビジネス面から整理し将来を展望している。産業政策強化の動きでは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う産業構造変化や気候変動対応、サプライチェーン毀損リスクへの対応として主要国が産業政策を強化している状況を分析している。不確実性指数については、マクロ経済不確実性指数やエコノミック・サプライズ指数等の定量的指標を用いてグローバルな動向を調査・分析している。地政学リスクでは、米中技術競争や経済安全保障強化等の急速な進展について足元の状況を調査し将来を展望している。共通価値については、気候変動・環境や人権といった課題について、脱炭素に向けたグローバルなトレンドや技術動向、政策、企業施策を整理し、循環経済の動きについても定性・定量的分析を行っている。これらの調査結果は令和4年版通商白書への掲載等を通じて、短期及び中長期の経済政策の企画と立案に資することが期待されている。