令和3年度地域経済産業活性化対策調査(沖縄地域における水素ステーション設置に係る最適地等調査)調査報告書

掲載日: 2023年3月2日
委託元: 経済産業省
担当課室: 内閣府沖縄総合事務局経済産業部エネルギー・燃料課
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令和3年度地域経済産業活性化対策調査(沖縄地域における水素ステーション設置に係る最適地等調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、沖縄地域における水素ステーション設置に係る最適地等調査について書かれた報告書である。世界的な地球温暖化対策およびカーボンニュートラル実現に向け、水素エネルギーが従来エネルギーの代替として期待される中、日本では2050年度のカーボンニュートラルを目指し、2030年までに温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減する目標を掲げている。沖縄県では前年度の調査結果を踏まえ、運輸部門における水素活用の可能性を見出し、水素ステーション設置の最適地調査を実施した。

水素ステーションには、外部製造水素を利用するオフサイト方式、ステーション内で水素製造から充填まで完結するオンサイト方式、移動式水素ステーションの3つの供給方式が存在する。全国の実例として、富山県では苛性ソーダ工場からの副生水素を活用したオフサイト方式、山口県では液化水素を用いた供給システム、東京都と愛知県ではコンビニ併設型の水素ステーションが運営されている。

水素ステーション設置には高圧ガス保安法をはじめとする多様な法規制が適用され、届出の提出、施設設置制限、換気対策、充填容器基準等の厳格な基準を満たす必要がある。国からは燃料電池自動車普及促進に向けた補助金制度が設けられており、地方自治体独自の支援制度も存在する。

沖縄地域における水素ステーション最適地については、地勢的観点、経済的観点、安定供給の観点から検討された。地勢的には沖縄本島が南北に長いため、将来的には北部、中部、南部にそれぞれ設置が必要であるが、人口分布を考慮し短期的には中部と南部への設置を優先すべきとされた。推定利用量は年間約3333kgと算出され、昭和化学工業株式会社の苛性ソーダ製造過程で発生する未利用水素約23366kg/年が最も有力な水素供給源として位置づけられた。

最適配置として、中部地域には昭和化学工業近郊での副生水素利用によるオンサイト型、南部地域には那覇浦添近郊でのオフサイト型またはオンサイト型の設置が提案された。ただし、昭和化学工業での未利用水素活用には有資格者不在、製造設備の敷地確保、人材不足等の課題があり、単独運営は困難であるため官民一体となった共同運営が必要とされた。沖縄地域の水素社会実現に向けては、短期的なモビリティ分野のみでは経済性確保が困難であり、自治体での補助金創出と長期的な官民一体システム構築が求められるとまとめられている。