令和3年度デジタル取引環境整備事業(デジタル時代におけるルール整備の在り方に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に実施されたデジタル時代におけるルール整備の在り方について書かれた調査報告書である。コロナ禍により浮き彫りになった日本のデジタル化の遅れを受け、2021年9月にデジタル庁が設置されたことを背景とし、既存の規制や行政のあり方を含めた構造改革が必要とされる中で実施された調査である。
2021年12月に策定されたデジタル社会実現に向けた重点計画において、構造改革のためのデジタル原則として、デジタル完結・自動化原則、アジャイルガバナンス原則、官民連携原則、相互運用性確保原則、共通基盤利用原則の5つが定められ、経済社会活動に関する全ての規律を対象にデジタル原則への適合性を点検することが決定された。この点検作業のため、デジタル臨時行政調査会の下に作業部会が設置され、「実地監査・目視」「常駐・専任」「定期検査」「講習、掲示、縦覧・閲覧」の規制テーマを先行して見直しの検討が行われている。
調査では、先行7項目の類型化・PHASE、改正の方向性に関する検討、先行7項目以外のルールの改正・策定等の方向性に関する検討、諸外国のデジタル原則の整備状況に関する調査の3つの項目について検討が行われた。規制の趣旨・目的に照らして同種と考えられる規制をひとまとめに点検・見直しするため、類型化とPHASE整理の手法が採用された。各デジタル原則に基づく具体的な見直しの方向性として、目視・実地監査規制については高精度カメラやドローン、AI等を活用した代替手段の検討、常駐・専任規制については遠隔による業務実施の可能性、講習・掲示・縦覧・閲覧規制についてはオンライン化による効率化等が提案されている。また、書面規制の見直し、Rules as Codeの導入、性能規定への転換等についても検討が行われ、デンマークや英国等の海外事例の調査結果も含まれている。
