令和3年度製造基盤技術実態等調査(国内外の繊維産業に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、令和3年度に実施された国内外の繊維産業の実態および消費者動向の変化について書かれた調査報告書である。
日本の繊維産業は人口減少や少子高齢化、さらに新型コロナウイルス感染症の影響により市場規模が縮小し、海外生産比率は98%に達している状況にある。こうした中で、サステナビリティへの対応、デジタル化の推進、ライフスタイルの多様化という3つの主要な変化が業界に大きな影響を与えている。
消費者動向調査では2000人を対象にウェブアンケートを実施し、新型コロナウイルス感染症の拡大により実店舗の利用が減少し、Eコマースの利用が大幅に増加していることが明らかになった。購入金額においても実店舗に匹敵する規模でEコマースが活用されており、充実した商品情報や豊富な品揃えが重視されている。消費者はブランドに対して価格の安さや利便性を求める一方で、高齢層では品質や縫製の良さを重視する傾向が見られる。
海外の繊維産業動向調査では英国、フランス、イタリア、中国、韓国、台湾、ベトナム、タイ、インドネシアの9カ国・地域を対象とし、各国の生産流通構造や政府の産業政策について分析を行った。国内の繊維産業動向では28の主要産地について1990年から2020年までの推移を整理し、現状の課題や求められるサポートを明らかにした。
先進的な取組事例として、ブランディングではサステナビリティを軸とした価値創造や消費者との結びつき強化の手法が示されている。デジタル化の取組では企画・生産段階から販売段階まで幅広い活用例が紹介され、生産性向上や新たな消費体験の提供が実現されている。異業種連携・進出においては、従来の業務領域を超えた取組により新たな価値創出が図られており、機能性衣料のカジュアルウェア転用やライフスタイル提案型事業展開などの成功事例が報告されている。