令和3年度製造基盤技術実態等調査(空飛ぶクルマの実現に向けた技術開発及び制度整備に関する調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、空飛ぶクルマの実現に向けた技術開発及び制度整備に関する調査について書かれた報告書である。経済産業省と国土交通省が合同で主催する「空の移動革命に向けた官民協議会」の活動状況と、2025年大阪・関西万博での空飛ぶクルマ実装に向けた具体的な検討内容が詳述されている。
官民協議会では実務者会合やユースケース検討会を通じて、機体の安全基準、操縦者の技能証明、運航安全基準、事業制度など多角的な検討が行われており、2023年、2025年、2030年等の各段階における想定ユースケースの整理が進められている。特に大阪万博実装タスクフォースでは、万博期間中の実用化に向けた具体的な運用方法が検討されている。
海外動向調査では、米国のNASAが策定したUAM Vision ConOpsや欧州における技術開発状況が分析され、国際的な空飛ぶクルマ開発の進展状況が把握されている。これらの海外事例を参考に、日本における技術開発及び社会実装に向けたロードマップの改訂案が検討されている。
万博会場における実装に関しては、会場内外のポート設置について詳細な検討が行われており、会場外ポートでは大阪市内や空港等への設置を目指し、万博後の継続利用も視野に入れた検討が進められている。会場内ポートについては、航空法第79条ただし書きの許可を受けた場外離着陸場として運用し、1時間に20回程度の離着陸に対応できる設備の整備が計画されている。これらの実現に向けては、設置基準や運用基準の整備、賠償責任の分担、離着陸管理体制の確立等の課題解決が必要とされている。
