令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル・サプライチェーンの可視化に関する調査)事業報告書

掲載日: 2023年3月31日
委託元: 経済産業省
担当課室: 通商政策局アジア大洋州課南西アジア室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(グローバル・サプライチェーンの可視化に関する調査)事業報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、グローバル・サプライチェーンの可視化に関する調査について書かれた報告書である。背景として、日豪印貿易大臣会合で立ち上げられたサプライチェーン強靭化イニシアティブの下、デジタル技術を活用したサプライチェーンの可視化とデータ共有の進展について企業の具体的な取り組みを調査・分析することを目的としている。

報告書では、近年のサプライチェーンを取り巻く事業環境がグローバル経済の変動、消費者ニーズの多様化、リスクの高まり、新たな社会価値の台頭によって複雑化・不安定化していることを指摘している。これに対応するため、バリューチェーン全体の変化を発見し影響を評価する能力が必須となり、サプライチェーンの可視化が不可欠であるとしている。可視性の低さは経営に大きな損失をもたらし、可視化により最大20%のコスト改善が可能であることが示されている。

現在のサプライチェーン可視化には三つのトレンドがある。第一に可視化スコープの拡大で、自社内から上流・下流まで含み、人権・環境・GHG排出量なども対象となっている。第二にデータの一元管理で、コントロールタワーへの集約化が進んでいる。第三にデータ利用の高度化で、可視化からシミュレーション、AI活用による最適化まで発展している。

一方で日本企業では、戦略・構想面での投資対効果の不透明性や横断的取組の困難、ケイパビリティ面でのシステム化の遅れやデジタル人材不足、外部プレイヤーとのエコシステム面での課題が指摘されている。これらの課題を乗り越えるため、ユースケース定義とコントロールタワー設計、意思決定プロセスと体制構築、データ・システム基盤整備、外部プレイヤーとの互恵的関係強化、経営トップによる変革プログラム推進の五つの取組が必要であるとしている。

政府・業界団体による支援策として、認知度向上プログラム、マッチング・助成金提供、業界別標準テンプレート提供、データ共有標準化、基盤提供の五つの方向性が示されている。