令和3年度中小企業再生支援・事業承継総合支援事業中小企業の経営資源集約化に関する委託調査等報告書

掲載日: 2023年3月31日
委託元: 経済産業省
担当課室: 中小企業庁事業環境部財務課
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令和3年度中小企業再生支援・事業承継総合支援事業中小企業の経営資源集約化に関する委託調査等報告書のサムネイル

報告書概要

この報告書は、中小企業の経営資源集約化に関する委託調査について書かれた報告書である。中小企業庁が実施した「中小M&A推進計画」に基づき、M&A実施後の経営統合であるPMI(Post-Merger Integration)の重要性が認識されているものの、中小企業においてその認識が不足している状況を受けて策定されたものである。

報告書では、PMIに関するガイドラインの新規策定と既存の事業承継ガイドラインの改訂という2つの主要な取り組みが実施された。PMIに関しては、譲受側が期待するシナジー効果の発現や組織融合に関する懸念を抱く一方、譲渡側は従業員の雇用や事業の将来性を重視することが明らかになった。M&A実施後の満足度調査では、24%の企業が期待を下回る結果となっており、その理由として譲受側との融合不足や期待した相乗効果が得られなかったことが挙げられている。また、シナジーを感じている企業ほど早期からPMIを検討している傾向が確認された。

事業承継に関しては、近年の傾向として親族内承継の割合が急激に減少し、代わって従業員承継や第三者承継(M&A)の割合が増加していることが示されている。これは子どもの価値観の多様化や事業の将来性に対する不安の高まりが影響している。従業員承継については、種類株式や持株会社などのスキームの浸透や事業承継税制の対象拡大により実施しやすい環境が整いつつある。第三者承継については、後継者難の問題に加え、専門的なM&A支援機関の増加や国の支援センター設置による認知度向上が要因として考えられる。

これらの調査結果を踏まえ、中小PMIガイドライン策定小委員会を5回、事業承継ガイドライン改訂検討会を3回実施し、実践的な内容となるよう専門家による検討が行われた。最終的に中小PMIガイドラインが新規策定され、事業承継ガイドライン第3版が改訂されている。