令和3年度AI人材連携による中小企業課題解決促進事業(独習型デジタルスキル学習ツールのあり方に関する実証調査)調査報告書
報告書概要
この報告は、中小企業のデジタル人材不足と業務デジタル化の困難を解決するための独習型デジタルスキル学習ツールについて書かれた実証調査報告書である。
中小企業では十分なデジタル人材の育成・確保が困難であり、業務遂行に不可欠な人材が業務を離れて研修を受講することも難しいという課題が存在している。この課題解決策として、職場において日々の業務遂行の合間にデジタルスキルを学習できる独習型学習ツールの導入が検討された。
株式会社Preferred Networksが開発したプログラミング学習教材「Playgram」を社会人向けに改良し、中小企業社員と経産省職員合計304名を対象とした実証試験が実施された。この教材はビジュアル化されたノーコードプログラミングからPythonによるテキストコーディングまで、理解度と意欲に応じて段階的に学習を進めることが可能である。
効果測定は事前事後テストの結果とLMS情報を用いて行われ、全年齢・プログラミング経験の有無にかかわらず、いずれの集団においても研修効果が認められた。事前テスト平均点17.0-17.1点から事後テスト平均点18.8点への向上が確認され、特にプログラミング経験なしのセグメントにおいて顕著な伸び率を示した。年代別分析では30代までと40代以降で事前平均点に隔たりが見受けられたが、40代以降の職員についてはより高い伸び率を示し、デジタルスキル研修の効果がより高いと評価された。
事後アンケートでは70%以上が肯定的な評価を示し、プログラミング経験の有無にかかわらず60%以上の受講者が「良かった」以上の評価であった。一方で、難易度については約半数が「簡単だった」と評価し、業務への活かし方がわかりにくいというフィードバックも存在した。今後の展望として、Pythonコーディングの充実による難易度調整と、RPAツール普及によるプログラミング必要性の意識喚起が必要であるとされている。
