令和3年度地球温暖化対策における国際機関等連携事業(地球温暖化対策技術の分析・評価に関する国際連携事業)成果報告書
報告書概要
この報告は、地球温暖化対策技術の分析・評価に関する国際連携事業について書かれた報告書である。
本報告書は、IPCC第6次評価報告書の知見を踏まえ、パリ協定に基づく2030年NDC目標および2050年カーボンニュートラル達成に向けた包括的な温暖化対策技術の分析を行ったものである。気候変動リスクマネジメントの観点から、世界の温室効果ガス排出量の動向を分析し、経済成長とCO2排出の関係について検討している。また、エネルギー価格高騰に対する経済の耐性評価や間接的な電力輸入の実態についても詳細に調査している。
グリーン成長の限界と機会の分析では、世界各国の脱炭素化の取り組み状況を評価し、再生可能エネルギー導入の国内外動向やエネルギーシステム改革の効果を検証している。さらに、日本の産業界における温室効果ガス排出削減の取り組み状況を定量的に分析し、経団連の低炭素社会実行計画の成果を評価している。
中期緩和対策については、世界各国のNDC排出削減目標の妥当性を分析し、国際競争力への影響や国境炭素調整措置の効果について詳細な検討を行っている。特に、EU-ETS制度の動向やCBAM導入による炭素リーケージ対策の有効性について、複数のモデル分析により検証している。
長期緩和シナリオ分析では、2050年カーボンニュートラル達成に向けた技術開発の動向を調査し、需要サイドの対策、再生可能エネルギー技術、二酸化炭素除去技術、水素・アンモニア・合成燃料の技術動向について包括的に評価している。また、日本の家庭における生活行動の長期的変化や最終需要サイドの分析手法の開発、IT進展による食料システムの排出削減効果についても検討している。
本研究は、米国未来資源研究所をはじめとする国際研究機関との連携により実施され、気候変動対策における科学的知見と政策的インプリケーションを総合的に分析している。特に、炭素価格政策の効果や国際競争力への影響について、複数のシナリオ分析を通じて定量的な評価を提供している。
