令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(標準必須特許を巡る最新動向に関する実態調査)調査報告書

掲載日: 2023年4月7日
委託元: 経済産業省
担当課室: 経済産業政策局競争環境整備室
元の掲載ページ: 掲載元を見る
令和3年度内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(標準必須特許を巡る最新動向に関する実態調査)調査報告書のサムネイル

報告書概要

この報告は、標準必須特許を巡る最新動向について書かれた報告書である。近年の第四次産業革命の進展により、自動車や建設機械など日本の強みを持つ産業分野において異業種間での標準必須特許ライセンス取引が増加する見込みであり、関連する紛争の円滑な解決手段の検討が重要な課題となっている。調査は国際標準化動向と標準必須特許ライセンスを巡る取引環境の実態把握を目的として実施された。

国際標準化動向では、3GPPがリリース17のStage3を2022年第1四半期末に凍結し、リリース18の要求仕様を承認してコネクテッドカー向けC-V2X通信規格化を進めている。Wi-Fi技術においてはIEEE802.11beの国際標準化が進行中であり、Wi-Fi 7認証が2024年に開始される見込みである。IEEEのIPRポリシーについては、2015年の改訂により合理的実施料率算定や差止請求の原則的な非承認などが定められたが、トランプ政権下でプロパテント化が進み、バイデン政権下では政策見直しの動きが見られる。

標準必須特許紛争件数は2010年から2020年にかけて増加傾向にあり、特に米国、ドイツ、中国での件数が多い。各国の主要裁判例では、ドイツではCJEUの4ステップテストに基づく判断が行われ、中国では特許権者と実施者双方の義務が検討されている。実態調査では企業へのアンケートを実施し、ライセンス交渉における課題や紛争解決手段について調査が行われ、標準必須特許を巡る取引環境の複雑化と解決策の必要性が明らかとなった。