令和3年度地域中小・小規模事業者人材確保等支援事業(伴走支援関連調査及び伴走支援の在り方検討会事務局の運営事業)委託事業報告書
報告書概要
この報告書は、中小企業・小規模事業者に対する経営力再構築伴走支援モデルについて調査・分析した報告書である。新型コロナウイルス感染症などの環境変化に対応するため、中小企業経営者が自らの気づきによって本質的課題を設定し、経営改善を図ることを支援する新たな伴走支援手法について、その効果と実施方法を検討したものである。調査は支援機関と受援事業者双方に対してヒアリングを実施し、宮城県K市、S県経営者協会、H地区産業支援センター、地方金融機関A行などの取組事例を分析している。その結果、経営力再構築伴走支援モデルは「プログラム型+オープン型」「プロジェクト型+クローズ型」「経営支援サービスの高度化型」の3つの類型に分類されることが明らかになった。プログラム型では6~8か月の講座形式で経営者育成プログラムを実施し、3~4人のチーム編成による伴走支援を並行して行う方式である。プロジェクト型では特定の1社に対して複数の支援者がプロジェクトチームを組成して個別に支援を行う方式である。支援サービス高度化型では金融機関が既存サービスに伴走支援のアプローチを組み合わせて取引先企業の課題設定をサポートする方式である。調査結果から、伴走支援の効果として経営者の意識変革、新規事業創出、組織化推進などが確認された。また、支援実施においては守秘義務の徹底、支援者のスキル向上、フォローアップ体制の構築などが重要な留意事項として挙げられている。今後の普及・定着に向けては、支援者の育成体制整備、評価指標の明確化、地域特性に応じた実施方法の検討が課題として指摘されている。
