令和3年度エネルギー需給構造高度化対策に関する調査等事業(メタネーションを中心としたCO2カウント等の在り方に関する委託調査)報告書
報告書概要
この報告書は、日本の2050年カーボンニュートラル実現に向けたメタネーション技術を中心としたCO2カウント制度の在り方について書かれた報告書である。メタネーションは水素とCO2から合成メタンを製造する技術であり、既存の都市ガス導管やLNG船等のインフラを活用できるため、ガス・熱エネルギーの脱炭素化において重要な役割を担うとされている。報告書では、欧米主要国の政策動向調査を実施し、EUのEuropean Green DealやFit for 55パッケージにおける再生可能エネルギー指令の改正、水素戦略、欧州排出権取引制度の動向を詳細に分析している。また、アメリカの再生可能燃料基準制度についても調査が行われている。技術開発動向については、主要国のメタネーションプロジェクトの調査、論文発表状況、特許出願状況の分析を通じて、グローバルな研究開発の現状を把握している。国際的な標準化については、GHGプロトコルやSBTイニシアチブにおけるメタネーション技術の位置づけを整理している。合成メタンの取引形態については、海外製造・国内利用、国内製造・国内利用等の複数のモデルケースを検討し、2030年におけるコスト試算を実施している。最も重要な検討事項として、メタネーションに係るCO2カウント制度の在り方について、国レベルと企業活動レベルの両面から詳細な分析を行っている。国レベルでは、国家インベントリにおける合成メタン燃焼時のCO2排出の取扱いや、国際的な削減クレジット制度の活用可能性を検討している。企業活動レベルでは、温対法や各種制度における合成メタン利用時のCO2排出の算定方法について4つの案を提示し、それぞれの利点と課題を整理している。特に、CO2回収側と利用側における環境価値の配分方法、排出削減の二重計上の回避、カーボンリサイクル燃料利用促進のインセンティブ設計等について詳細な検討が行われている。
